安全運転のための情報

雪道や凍結した道を安全に走行するためには

寒い日が続き、全国的に雪のシーズンになりました。今月は、積雪がある道路や、凍結した道路での安全な走行について考えてみましょう。

〇 積雪路は直線の「一般単路」で、凍結路は「カーブ」や「橋」で死亡事故が増える 〇

積雪がある路面(積雪路)や凍結した路面(凍結路)などの状態別に、平成26年中の交通死亡事故がどのような場所で起きているのかをみてみましょう(図1)。

積雪路ではカーブ等を除いた直線の「一般単路」が半数を占めています。積雪路ではスピードを出していなくても、ブレーキを踏んだときにスリップし事故に至るケースが考えられます。

凍結路でも「一般単路」が多く占めていますが、乾燥した路面(乾燥路)や積雪路と比べると「カーブ」が倍近くなり「橋」も突出して増えます。カーブの手前で十分にスピードを落としきれていないため、スリップ事故を起こした様子がうかがえます。また、橋の上やトンネルの出入口付近は他の場所と違って風通しがよく、路面が冷え込んで凍結しやすくなるため、スリップ事故を起こしやすくなります。

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図1:路面の状態と道路の形状別にみた死亡事故件数の割合(平成26 年中)

〇 積雪路や凍結路はどれくらい滑りやすいのでしょうか 〇

路面の状態別に摩擦係数(摩擦力の大きさを表す指数で、数が小さいほど滑りやすいことを意味します)を比べ、積雪路や凍結路でタイヤがどれだけ滑りやすいのかをみてみましょう(図2)。

乾燥路の摩擦係数は0.7~0.9になります。積雪路は乾燥路に比べ3.2倍滑りやすくなり、凍結路では5.4倍、さらにツルツルの凍結路だと8.0倍も滑りやすくなります。特に凍結路でスピードが出ていると、ハンドルを少し回すだけでタイヤが路面を滑り、停止しようとブレーキを踏んでもすぐに止まることができない状況に陥ることがわかります。

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図2:路面の状態別にみた滑りやすさの比較

〇 積雪路や凍結路を安全に走行するためには 〇

積雪路や凍結路を安全に走行するためには、どのような運転をすればよいかを考えてみましょう。

  • いつもより早く出発しましょう

スリップしやすい積雪路や凍結路の運転で、焦りは禁物です。時間と気持ちに余裕をもって運転するために、いつもより早く出発しましょう。

  • 車間距離をとり、ゆっくりとしたスピードで走行しましょう

積雪路や凍結路で走行する際は、スリップしたときのことを考えて、いつもより長い車間距離をとりましょう。

ブレーキから足を離したときに車が動き始める「クリープ現象」を利用して静かに走り始め、ゆっくりとしたスピードで走行しましょう。停止するときはエンジンブレーキを利用して徐々に速度を落とし、急ブレーキを避けましょう。

  • ハンドルをしっかり握り、車輪をわだちに沿わせて走行しましょう

わだち(車が通ったあとに残る車輪の跡)がある道路では、タイヤがわだちの側面に当たりハンドルをとられる場合があります。ハンドルをしっかり握り、車輪をわだちに沿わせてスピードを落として走行しましょう。

  • カーブの手前では、十分にスピードを落としましょう

積雪路や凍結路のカーブでは急ブレーキを避け、カーブ手前では普段より遅く感じるくらい十分にスピードを落としましょう。曲がるときは、ハンドルをゆっくりと操作しましょう。カーブから出るときは急加速を避け、アクセルを踏み込まずゆっくりと加速させましょう。

  • 下り坂では、エンジンブレーキを使いましょう

積雪路や凍結路の下り坂では、スピードが出やすく、不用意にブレーキを使うとスリップします。坂の手前で十分にスピードを落とし、エンジンブレーキを使って、急ブレーキを避けましょう。

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  • 橋の上やトンネルの出入口付近は、特に注意して走行しましょう

橋の上やトンネルの出入口付近は風通しがよく、凍結しやすくなります。乾燥した路面からそのままのスピードで橋に入ったり、トンネルから出たりすると、スリップする危険性があります。橋の上やトンネルの出口では、凍結しているかもしれないと意識しながら、十分注意して走行しましょう。

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積雪路や凍結路を運転する際は、いつもより早く出発し、長い車間距離をとり、ゆっくりしたスピードで走行しましょう。

 

<今月のクイズ>
Q. )平成26年中に起きた交通死亡事故のうち、乾燥した路面で起きた死亡事故は3,255件(約81.1%)、積雪がある路面では39件(約1.0%)発生しました。
では、凍結した路面で起きた死亡事故は何件発生したかを次の中から選んでください。

  1.  29件(約0.7%)
  2.  39件(約1.0%)
  3.  59件(約1.5%)

A.) 3. 59件(約1.5%) (出典:公益財団法人交通事故総合分析センター 平成26年版「交通事故統計年報」より)

 

出典:東京海上日動社 安全運転ほっとNEWS

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